誰も見てません

Nobody cares

ドラマを観て見つけた、闇を抱えた女

今まであまりみていなかったけど、今期は観ている。「営業部長 吉良奈津子」と、「そして誰もいなくなった」。いま第3話なのだけど、どちらのドラマでも共通して似たような女、主人公の恋愛における人間関係を崩す人物が動き出している。

役者はそれぞれ、伊藤歩ミムラ伊藤歩さんは映画スワロウテイルから、YUKICHARAとギャルバンドを組んでMステに出たりCMに出たり、テレビでも活躍をされてきた女優さん。ミムラさんは雑誌MOEで連載をするほど絵本に詳しく、ムーミンから芸名をとっていたりもして、子供心を忘れない読書好きのお姉さんという印象の女優さん。いつもニコニコしている気がする。どちらも物腰柔らかく、素朴で素直で物事を丁寧に扱いそうなイメージ。なんとなく図書館司書役がぴったりはまりそう。

このお二人が一見消極的で内向的な女として、内に秘めた闇を主人公か主人公のかなり近くの人物にぶつけ出した。このギャップがこわい。そしてこういう女は、人は、いる。まっすぐには他人と闘えないから、自分のことを、自分が決めた特定の人にだけ、自分の空間をつくって、伝える。自分に自信がないように見えるけれど、つまり本当は自分しか信じていない。これが、この女たちの生き方である。自分と自分が信じた人の事しか考えない、他はどうでもよい。でも、たぶんそういうふうにしないと生きていけないから仕方ない(本当に仕方ない場合と、仕方ないとしている場合がある)。

闇や抱えるものがあることは誰にしもあり得るけれど、この人たちは普段ニコニコ優しい笑顔を振りまいているからこわい。逆に普段こわい顔をしたクールな人だったらどうだろう? そう考えると、普段の優しいイメージであるお二人の女優が演じているところが気味悪くて、とても良い見所のひとつになっているのだ。これを菜々緒が演じていたら全くおもしろくない(菜々緒さんをディスっているわけではない)。今後このお二人のキャラクターがどう崩壊するか楽しみに観てみようと思う。